兵庫医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室

    トップページ

    病院長ご挨拶

    教室紹介

  • スタッフ紹介
  • 入局案内
  • 先輩医師からのメッセージ

    患者さまへ

  • 外来案内
  • 腫瘍外来
  • 耳外来
  • めまい・平衡外来
  • 鼻・嗅覚外来
  • 味覚外来
  • 耳管機能外来
  • 幼児難聴外来

    教室紹介

  • 患者さんのご紹介について

腫瘍外来

診察曜日 担当医
火曜日 午前診察
初診・予約診察
寺田 友紀、 中村 匡孝
水曜日 午前診察
初診・予約診察
篠田 裕一朗
金曜日 午前診察
初診・予約診察
寺田 友紀、 篠田 裕一朗、 中村 匡孝

頭頸部腫瘍グループは耳鼻咽喉科の中でも、頭頸部外科を担当しています。

頭頸部外科は腫瘍、特に癌を専門に扱っている分野です。もちろん頭頸部にできた良性腫瘍や頸部の感染性疾患(特に外科的処置の必要なもの)の治療にも携わっています。

我々が専門とする頭頸部領域は、耳、鼻、口の中、ノドなどその担当場所より人間の五感である視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に関係し、また我々が日常当たり前に行なっている、息をする、食べる、話す、味を感じる、においをかぐなどといった行動にも密接に関係しています。よって、この領域にできる癌は、できる場所や大きさによって異なりますが、癌による直接的な破壊や手術で癌を摘出することで、これらの日常生活で何気なく使用している当たり前のことが多かれ少なかれ障害されます。

頭頸部癌の治療によって何らかの障害が生じるのはやむを得ません。その障害の程度をできるだけ少なくする治療を心がけていますが、治療の前に患者さんやご家族が十分な理解を得なければ、決して満足のできる結果にならないと思います。そのために治療前に十分な説明を行い、理解を得るように努力しています。 また、障害の程度をできるだけ少なくするために、放射線科や形成外科などの他科との密な連携をとりながら最良の治療法を考え、患者さんのメリットができるだけ大きくなるように日々努力しています。癌の根治率を向上させるよう努力するのは当然ですが、喉頭癌や下咽頭癌の喉頭温存手術や、放射線科と共同で行っている超選択的動注化学療法など、機能温存を考慮した癌治療も積極的に行っています。そのためにも、検討会を開き一人一人の患者さんにあった治療法を検討しています。

上咽頭癌

上咽頭とは、鼻の奥、口蓋垂(いわゆるのどちんこ)の上、頭蓋底(脳の下)に囲まれる部分です。

ここに癌ができると症状として、
鼻症状→鼻出血・鼻閉など、耳症状(上咽頭は耳とつながっている耳管が開口する部位でもある)→難聴・耳漏・耳閉など、脳神経症状などが出現します。

また、比較的早期から頸部リンパ節に転移することもあり、頸部腫瘤を自覚されて来院される方もいます。しかし、上咽頭は解剖学的位置から肉眼的に観察されにくい部位のため、これらの症状は自覚症状として出現しにくく、進行してから発見されることが多いです。

治療としては、当科では抗癌剤併用放射線療法を施行し、良好な治療成績を上げています。また、再発や治療後の腫瘍残存に対しては、γナイフ(他院に紹介)や頸部郭清術などの治療も積極的に施行しています。

中咽頭癌

中咽頭は嚥下機能に(食事を食べること)に大きく関わる場所であります。第一に癌の根治を目指すのは言うまでもありませんが、治療後の嚥下機能をできる限り落とさないことを考慮し、当科では下記の状態を見極め、治療法を選択しています。
手術に関してはダヴィンチXを用いた最先端の低侵襲手術である経口的ロボット支援手術も行っております。

  1. 癌の存在部位
  2. 大きさ
  3. 深部浸潤の有無
  4. 頸部リンパ節転移の有無
  5. その治療を行った場合の根治の確率
  6. その他の全身合併症の有無などの項目を考慮の上、さらに
  7. 患者様の希望も十分加味し、初回治療として放射線治療(抗癌剤併用)が良いか、
    摘出手術が良いかを選択しています

下咽頭癌

下咽頭は喉頭と隣り合わせの位置にあり、この場所にできる癌は小さいうちは無症状であることが多いため、進行癌で見付かることが多く、そのため喉頭全摘を含めた癌の切除が必要となることがほとんどです。しかし、早期で発見された症例などでは、放射線治療や喉頭温存手術で根治を目指すことができるため、喉頭(発声機能)を残した治療を積極的に行っています。

また、手術を行った症例で、頸部リンパ節転移の個数が多い場合は、再発予防として術後放射線治療を勧めています。残念ながら喉頭全摘が必要になった患者様に対する音声リハビリテーションにも力を入れています。

代用音声は大きく分けて、下記があります。

①食道発声 ②人工喉頭(電気式・笛式) ③気管食道瘻発声(プロテーシス発声)

①や②の方法で音声獲得が困難な場合には、プロボックス2というプロテーシスを用いた発声法をとり入れ、できるだけ多くの患者様に代用音声を獲得していただけるよう努力しております。プロボックス2を用いる発声法を行っている施設はそれほど多くありません。我々は国内有数の症例数を誇っており、これが当科の特徴でもあります。

喉頭癌

喉頭は声を出す声帯があり、肺・気管の入り口で空気の通り道、食事をむせないように(誤嚥しないように)する機能などがあります。この部分に癌ができると、これらの機能が障害されて症状が出現してきます。

嗄声(声がれ)、息苦しさなどの呼吸困難感、喘鳴、血痰、食事時の違和感・痛みなどの症状が現れます。また喉頭癌は、圧倒的に男性に多く、90%以上が喫煙者です。

ヘビースモーカーの男性の方は、これらの症状が出たら早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。治療方法は、大きく分け放射線治療と手術療法があります。小さな病変なら放射線療法で対応できますが、大きな病変では手術が必要になってきます。状況により声を残すことができない喉頭全摘出術が必要な場合もありますが、当科ではできるだけ機能温存を図るようにしています。声を残すような手術(喉頭部分切除や拡大切除など)も施行しています。また最近は抗癌剤併用の放射線療法も積極的に施行しています。これらの治療法は、病変の部位や大きさなどにより判断し、さらに患者さんとの意見を交えて決定しています。

舌、口腔癌

舌・口腔はしゃべる(構音)や食べる・飲み込む(嚥下)など日常生活に不可欠な部位です。この部位が障害されると、これらの機能が損なわれ、大きく日常生活が損なわれます。よってこの部位の癌の場合、これらの機能障害を最小限にするため、癌の大きさや浸潤度合いにより治療法を選択する必要があります。

舌、口腔癌の場合、放射線単独治療の効果はそれ程期待できず、また放射線治療後の副作用も強いため、早期で発見された場合でも手術治療を第一選択としています。腫瘍の大きさが小さい場合、腫瘍摘出後に粘膜同士を縫合します。

ある程度進行した腫瘍の場合、摘出後に欠損部が大きくなるため、嚥下機能や構音機能のことを考慮して前腕部や大腿部からの皮弁を用いる再建手術が必要となります。これらの治療によって術後の機能をよりスムーズに獲得できるように努めています。また、再建手術に関しては密な連絡を取りながら形成外科と共同で手術を行なっています。

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍には大きく分けて良性と悪性腫瘍があります。

当科では受診後に頸部エコーやCT、MRI、穿刺吸引細胞診等を行い、良性か悪性かを診断し治療方針を決定します。しかし中には良悪の判断が非常に困難な場合があり、患者様とよく相談した上で方針をきめている場合もあります。

良性腫瘍の場合、絶対に手術治療が必要ということはなく、外来で経過観察している方も多数おられます。しかし良性腫瘍でも徐々に大きくなるため、年齢や今後起こりうる症状等のことを考慮して手術を選択することもあります。

甲状腺癌の8〜9割のものは比較的予後が良好であり、摘出手術を行なえば治癒することが多いため、当科では多くは手術治療を選択しています。

上顎洞癌

上顎洞は鼻腔の周囲にある4つの副鼻腔のうちの1つです。

上顎洞癌は副鼻腔にできる癌のうち最も多く、以前より三者併用療法(化学療法・放射線・手術)が広く行なわれてきました。当科でも三者併用療法を行なっていますが、放射線治療に併用する化学療法の方法として、以前は、耳前部の動脈からカテーテルを留置して抗癌剤を投与する『選択的動注化学療法』を行なってきました。

しかし、2002年より放射線科の協力で『超選択的動注化学療法』(腫瘍近くの動脈までカテーテルを進め、血管造影をしながら腫瘍の栄養血管を同定し、そこに抗癌剤を注入する方法)を導入しました。

以前の方法(選択的動注化学療法)と比べ、腫瘍を栄養する血管(栄養血管が複数存在しても可能)に直接抗癌剤を注入できることで、腫瘍内により高濃度の抗癌剤が到達するため、より大きな治療効果が期待できます。

当科では進行度に限らずこの方法を初回治療として放射線治療と併用して行っており、進行癌でも手術なしで治癒する症例も経験しました。しかし、進行癌ではこの治療のみでは完全に腫瘍が消失することは難しいのが現状で、残存腫瘍に対して手術が必要になる症例が多いです。

また、頭蓋底への腫瘍の浸潤が存在する症例に対しては、脳神経外科と共同で頭蓋底手術も行なっています。

※ 患者さんへのお願い
手術や検査のために採取した検体は患者さんに同意を得た上で(必要時には倫理委員会の承認も得て)研究、教育の為に使用させていただくことがあります。個人情報の取扱い、保護には十分に注意を払います。ご協力をよろしくお願いいたします。希望されない場合は遠慮なく申請してください。これにより診断、治療の方針が変わることは一切ありません。

皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

ページの先頭へもどる