兵庫医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室

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先輩医師からのメッセージ

足達 治先生

足達 治 先生
平成6年兵庫医科大学卒 / 耳鼻咽喉科足達医院 院長

基礎研究に携わったことがある臨床医が感じたこと

皆さんこんにちは。
臨床もしたいけど、基礎研究も少し気になる方に、基礎研究に携わったことがある臨床医は、何を感じて基礎研究をしたかをお伝えしようかと思います。

私は本学を卒業し、耳鼻咽喉科に入局しました。当時の制度で卒業後直ぐに医局に入局し、耳鼻咽喉科を中心に2年間の研修をしていました。研修後そのまま臨床を継続することも出来ましたが、研修期間中より、これから続く耳鼻咽喉科医師人生のなかで何か腰をすえて勉強するには今しかない、と思い、阪上雅史教授のご厚意により大学院進学の機会を得ることができました。

「これからは分子生物学の時代だ」との勧めもあり、その技術を学びに本学生化学教室へと派遣されました。そこでご指導頂いたのは、あの審良静男教授(現大阪大学免疫学フロンティア研究センター拠点長・大阪大学微生物病研究所教授)でした。

審良先生といえば、毎年ノーベル賞候補に挙がるほど、日本のみならず、世界を代表する免疫学者ですが、幸運にも私は指導して頂く機会を得ました。
当時、審良教授は本学の生化学教室を開講されたばかりで、研究室には十分なスペースがなく研究員が順番で場所を譲り合うような環境でしたが、研究に対する熱意、探求力、そしてスピードにそれこそ圧倒され続けながらも昼夜を問わず周りの研究者と共に研究を続けました。その中の結果のひとつが大変重要なきっかけとなり、その後の審良先生のテーマ(自然免疫)へ結びついていきました。当事の私にはさっぱり全体像が見えていない、だめだめ研究者でしたが、大変貴重な経験を得ることができました。

大学院卒業後は、臨床の技術を得るため各市中病院で勤務の後、大学で臨床医として勤務していました。その後再び研究の虫が騒ぎ、留学の機会を与えて頂きました。
留学先は米国ボストンにある、ハーバード大学医学部の耳鼻咽喉科関連病院で、骨代謝をテーマに研究を開始しました。"骨代謝???"とおおよそ耳鼻科と結びつかないと考えていたところから始まった研究も、素晴しい教授、スタッフとの出会いがあり、大変充実した研究期間を送ることができました。
その後は大学で勤務の後、現在、関連病院勤務で臨床に励んでいます。

臨床医は目の前の患者のために、全力を尽くします。そこには色々な葛藤や挑戦があり、達成感もあります。それでは、臨床医には基礎研究は必要の無いことでしょうか?
臨床は直接的であり、分かりやすい反面、複雑さを追求できない側面を持ちます。一方、基礎研究は、普段の臨床で分からないことをとことん突き止めていく楽しみに満ちているように思います。確かにその世界に飛び込むには勇気や、勢いが必要かと思いますが、必ず何かしらの発見があり、同じ目標を持つ仲間がいると思います。

私が基礎研究のなかで痛感したのは、世界を相手に競争することの楽しさ、苦しさ、それと達成感だったと思います。
もちろん臨床でも同じような感覚はあるかと思いますが、これらを共有する仲間が世界中にいて、彼らもまた臨床とは違うところで、一生懸命その使命を果たそうとがんばっている、といったことを身をもって感じ取れるようになったことが、基礎研究から得られた一番の宝です。

臨床、もしくは基礎のどちらかだけではなく、お互いの側面から疾患を捉えられ、最終的に目の前にいる患者さんのために役立てる医師になることが、私の目標の一つです。
皆様にも同じようなチャンスは必ずあると信じています。まずは、話だけでもといった方があれば、医局までご一報ください。また、同様な経験を積んでみたい、と思われる方は是非とも耳鼻咽喉科へ入局も考えてみてください。新たな世界が広がるかもしれません。

最後になりましたが、皆様の今後のご発展をお祈り申し上げます。

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